現場報告

狭小地にRC構造の3階建マンションを建築。

DATA

東京都品川区戸越
長屋8戸
地上3階 RC造
敷地面積:185.14㎡
延床面積:271.77㎡

施工前

今回の現場は、道路に隣接する間口が小さく、奥に行くと広い敷地がある旗竿地という土地です。旗に竿がついているイメージです。そのため、資材等の搬出入に工夫が求められる物件でした。
また、隣接するお宅への配慮も欠かせません。前面の道路にミキサー車やポンプ車が駐車する際はあらかじめ近隣様からのご理解をいただきながら工事を進める必要があります。


施工準備

建物全体を把握するための地縄・遣り方工事に入り、仮囲いを設置していきます。着工後最初の工程になりますが、構造物の位置や長さなど正確な情報を表示していくため、非常に重要な作業となります。建物が建っていない状態では広く感じますが、建物を建て始めると狭くなってしまうので、状況に応じて材料や備品置き場を決めていきます。


土工事

建物の基礎を作る為、土を掘り起こします。重機を使う作業のため、周囲の確認、声掛けをしながら安全に配慮する必要があります。
また、掘削した土はトラックで一日に何度も搬出するため、近隣様のご理解・ご協力を得て工事を進めていきます。
根伐りの後には砕石を敷き転圧機で地盤を固め安定化させます。


耐圧盤コンクリート打設

建物を支え地盤からの力を受ける強固な床を、鉄筋コンクリートで作ります。ポンプ・圧送工、コンクリート工が協力し打設します。
生コンの打設は一度作業を開始すると途中で中断することができない作業のため、配合計画や打設手順など、事前の準備が必要になります。生コン打設は躯体工事の中心になるため、重要な工程になります。


鉄筋工事

鉄筋コンクリートに必要となる鉄筋を組み立てていきます。
配筋は建物の寿命や強度に直接影響がある上、コンクリート打設後は確認することが出来ないので、非常に重要な工程になります。
鉄筋同士の間隔や、使われている鉄筋の太さや種類、水平に配筋されているか確認しながら進めていきます。
配筋後は型枠工へ引継ぎ、コンクリート打設の工程へ近づいていきます。


型枠工事

コンクリートを打設し、建物の躯体形状を造るために型枠を組んでいきます。外壁面の仕上げは打ち放しのため、使われるパネルは特に汚れに気を付けて作業を進めていきます。
また現場の性質上、型枠工事で使われる部材の荷揚げはすべて人力で行います。枠の解体時も機械は使わず手降ろしで行いますが、騒音など近隣様への配慮が必要になります。
総じて、人の力がより求められる工程になります。


コンクリート打設工事

型枠工が建てた型枠に生コンクリートを打ち込み、建物の階層を上げていきます。
ポンプ工、コンクリート工、左官工など、複数の職方の協力で打設が進められます。ポンプ工が生コンを圧送し打設しながらコンクリート工がバイブレーターをかけ、コンクリートが均一になるようにします。コンクリートの表面は左官工が平滑に仕上げます。
生コンは非常に重いため、組んだ型枠の隙間から漏れないよう均等に打設する必要があります。


断熱材吹付

硬質ウレタンフォームを壁に吹付け充填し、外に面する部分の断熱を行います。壁に吹付けたウレタンフォームには細かい気泡が生成され、その気泡に空気をためることにより断熱性能を高めています。また、断熱性能のほかに遮音性・吸音性の役割もあります。
吹付け作業は配線や既存の器具類への影響がないよう養生を行ったうえで進めていきます。
吹付後、その上から内装材や化粧材を施工していきます。


軽量工事

軽量鉄骨(以下、軽鉄)を建て、壁を作る準備をしていきます。軽鉄は、天井や壁の仕上げを行う前の下地となる金属の骨組みを指します。
軽鉄材を使うこの工程は、木材と比べ加工がしやすく、不燃材でできているため、消防検査に通りやすいという利点もあります。
軽鉄工事は、内装工事に入ると最初に行われる工程で、部屋の間仕切りなどもこの段階で造られます。何もない空間に壁の下地を造っていく作業になるため、その後の仕上げ工事や建物の居住性に影響を与える工事です。


石膏ボード貼工事

軽鉄が組み終わり、骨組みが完成したら、石膏ボードを貼って、壁を作っていきます。石膏ボードは防火・耐火性に優れています。石膏には大量の水分が含まれており、高温になるとこの水分が蒸発する仕組みになっています。
また、電気や設備などの配線もこの段階で完了させます。壁に照明などのスイッチやインターホンのディスプレイを設置するため、完全に閉じる前に配線をボード内に埋め込みます。


壁紙下地

ボード同士の境目となるつなぎ目や段差、ビス穴、コーナーなどを目立たなくするため、パテで水平に整えていきます。下地の精度が良くないと、壁紙が浮いてその後の仕上がりに影響を及ぼしてしまうため、慎重に行う必要があります。


壁紙貼

壁の下地が出来たら壁紙を貼り、壁の仕上げに入ります。
加工性が高くデザインの種類が豊富なクロス貼りでの仕上げとなります。
ポリ塩化ビニールで造られたビニールクロスは加工が容易なうえに花柄や木目調などのデザインも豊富なので人気があります。
また、洋室の壁は一部異なる色のクロスを取り入れているため、施工前に壁紙の種類と箇所が対応しているか確認が大切です。


キッチン

住宅設備機器の設置に入ります。キッチンや洗面などの住設機器の設置は一箇所だけでなく、その部屋の数だけ施工箇所が存在します。他の職方と一日、あるいは一週間の施工状況や今後の予定を共有し、円滑に作業を進めていく必要があります。この現場は集合住宅の部屋が複数階に分かれているメゾネットタイプの間取りのため、1階に4か所、2階に4か所、合計8か所に設置・取付することになります。


トイレ

トイレもキッチン同様、8か所に設置することになります。トイレなどの水廻りは特に給排水の設備工も関わる範囲になります。部屋ごとの施工になるため、他職の動きを把握しながら作業が干渉することのないように進めていく必要があります。


洗面台

洗面は1階の4部屋に1か所ずつ、3階の4部屋に1か所ずつの施工になります。住設機器は設置・取付けだけでなく、その後の梱包材などの処理も工程上では重要な点になります。外構廻りが狭小地であるという現場の特性上、作業後に残った梱包材の置き場や処分の時期など、現場の状況は常に変化していくので都度考えていく必要がありました。


床貼

床の内装材は、フロアタイルを貼ります。フロアタイルは塩ビ素材のため耐水性に優れています。
クッションフロアとは違い、デザインされる木目柄など本物のような質感になります。クッションフロアは柔らかく、テーブルや椅子の脚ですぐにくぼんだりへたったりするのに対し、塩ビタイルには適度な硬さと耐久性があります。フロアタイルはクッション性がないので傷にも強いという特徴があります。


内装完成

壁・床の仕上げが終わり、部屋内の完成です。洋室にはアクセントクロスを取り入れています。壁紙の一部に色や柄を取り入れることで、シンプルな部屋にメリハリのある印象を作ることができ、インテリアのアクセントとしての効果があります。
アクセントカラーは視覚効果として、部屋を広く演出する効果もあります。また寒色系の色は、実際よりも遠くにあるように見えるため、奥行き感を演出できます。


建物屋上部分

屋上部分はシート防水を行っています。シート防水は貼り合わせたシートを防水層として用います。シート防水に使用する素材は塩ビシートとゴムシートの二種類がありますが、配管の素材にも使用され、とても丈夫な素材である塩化ビニールのシートが現在の主流となっています。
また、写真のタワー上の設置物はRハットといい、排水通気管用のキャップです。防水耐水性に優れ、蝶ナットでの取り外しが可能なので整備性に優れた製品です。


外構タイル貼

建物入口から各部屋の玄関までの外構は、基礎のコンクリートの上にタイルを貼り、隙間のスリットの部分には玉砂利を敷詰めていきます。
タイルは耐久性があり、雨や風、砂などで傷がつきにくいという特徴があり、土や泥で汚れても簡単に掃除することができ、綺麗な床の状態を維持しやすいです。


外構フェンス・ブロック塀

ブロック塀を建て、フェンスを建てていきます。
現場建物と近隣様双方の敷地内への防犯や目隠しをフェンスで補っているため、近隣住民様とも十分な相談を行った上で施工を行いました。フェンスとブロック塀の外構工事は、隣地のお宅のご理解・ご協力があってこその工事になります。作業中の汚れや音には細心の注意を払って進める工程になります。


竣工

およそ8カ月間の工事となりましたが、一連の工事が終了となりました。狭小地のマンション建築ということで、搬出入や段取りの調整に工夫が強いられる場面もありましたが、工事関係者の協力と近隣様のご理解もあり、無事に竣工を迎えることができました。

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